利照堂センムのお寺歩き~聖楽寺編③~

《本堂》に入りました。
とても開放的な《内陣》となっていますが、お寺さまによくみられる《人天蓋(にんてんがい)》や《憧幡(どうばん)》といったものがありません。
代わりに左右の4カ所には見事な《鳳凰》と《四君子(しくんし)である蘭・竹・梅・菊がデザインされた欄間があります。

《君子》とは、徳や学識、礼儀を備えた清らかで高潔な優れた人のことを言い、この《蘭・竹・梅・菊》の4種の花が君子を思わせる佇まい、風格を持つことから《四君子》という柄が生まれました。
吉祥文様として、とても好まれる柄です。
蘭はほのかな香りと気品を備え、竹は寒い冬にも葉を落とさず青々としている上、曲がらずまっすぐな性質を持っている。梅は早春の雪の中で最初に花を咲かせる強靱さ、菊は晩秋の寒さの中で鮮やかに咲く姿が好まれました。
それぞれの気品と美しさから、春は蘭、夏は竹、秋は菊、冬は梅と、四季を通じての題材となります。

そして何よりも圧巻なのが天井に描かれた《龍》の水墨画。こちらは《臨済宗妙心寺派大本山》の《妙心寺さま》の天井に描かれている《雲龍図》と同じものとなります。迫力がありますね。

《龍》は仏法を保護する霊獣とされ、また、雨を司ることから法の雨を降らせることを願って描かれます。

ありがたい意味があるのですね。

《本堂入口》から《外陣》、《内陣》に向かって《蓮の花》の彫刻が若干異なっています。こちらも
《ご住職》こだわりの一つで、裏の《位牌堂》にもある《蓮の花からが外に向かって開いていくようにデザインされています。

《須弥檀》や《施餓鬼檀》もケヤキ製です。こちらにも至る所に《龍》の彫りが。
そしてたまに《亀》も。
《亀》も縁起の良い動物として好まれますね。
見つかるとちょっと嬉しい気持ちになります。

《ご本尊さま》は《聖観音菩薩さま》です。美しいお顔が見えるように高さには工面されたようです。

より明るく、より美しくお姿を見てもらえるようにライトアップされています。

全体的にすっきりとされている中、けやき製や龍の彫刻などが多く統一された《本堂》でした。素材やデザインや意味にこだわりを持たれた《ご住職》。現地に行って直接職人と話をし、良い品や特注を自分が動くことで安くできるようしてきたそうです。
《ご住職》の労を惜しまず、こだわりが詰まった見事なお寺でした。

以上、13歩目は、静岡市葵区有永の臨済宗《聖楽寺さま》でした。

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