本堂の奥に進み、《位牌堂》や《納骨堂》《客殿》《東司》につながる通路に来ました。
こちらにも見どころがたくさんあります。
まずは左手に《地蔵菩薩さま》が祀られています。
頭上には《道環(どうかん)》と書かれた額が飾られています。
お寺さまでは行事のことを「行持」と書くことがあります。
「仏祖の大道、かならず無上の行持あり、道環して断絶せず。発心(ほっしん)・修行・菩提(ぼだい)・涅槃(ねはん)、しばらく間隙あらず、行持道環なり。」 という言葉があり、行持(修行)に終わりはな
く、一生が修行であることを「環」をもって表しているようです。
この言葉が《六道輪廻》を司る《地蔵菩薩さま》の所に掲げられていることがとても興味深いです。
右手には《中台八葉院(ちゅうだいはちよういん)》を型どった額が飾られています。
《中台八葉院》は《毘盧遮那(びるしゃな)如来(大日如来さま)》を中央に
北方《天鼓雷音(てんくらいおん)如来さま》
東方《宝憧(ほうどう)如来さま
南方《開敷華王(かいふけおう)如来さま》
西方《無量寿(むりょうじゅ)如来さま》
の東西南北(四方)の五如来さま。
またその間に
北東の《弥勒菩薩さま》
南東の《普賢菩薩さま》
南西の《文殊師利菩薩さま》
北西の《観自在菩薩さま》
の四菩薩さまをあわせた九尊をいいます。
こちらは《胎蔵界曼茶羅(たいぞうかいまんだら)》として有名ですが、木彫りの立体板軸になっているのは初めて見ました。
ご住職のお気に入りの一つだそうです。
また、こちらを飾るために作られたケヤキの枠とスポットライト。価値が増します。
《ご先祖さま》のお位牌が祀られる《位牌堂》と《納骨堂》の入口に飾られているのがまた《お檀家さん》にはありがたいですね。
その横には《仏事門中不捨一法》という看板が掛けらています。(仏法から云えば、正法(尽十方界真実)でないものはない)。という意味だそうです。
うーん。わかるような…難しいですね。
その向かいには《金剛波羅蜜経》による《仏塔》の絵が飾られています。《金剛般若波羅蜜経》は略して《金剛経》《金剛般若経》ともいわれます。
こちらのお経の文字が《搭陀羅尼》として、《七重の塔》を描いています。各階には《仏さま》も描かれています。
もう圧巻ですね。
意味はわかりませんが、凄さとありがたさは伝わってきます。
《位牌堂》にはお檀家さんの《先祖位牌》と共に《百観音霊場》の《御朱印》をケヤキの額に表装したものが掛けられています。
こちらにはその内の2カ所、向かって右側に《坂東三十三観音霊場》、左に《西国三十三観音霊場》が祀られています。
私が驚いたものの一つがこちらです。
《本堂用位牌》の陳列方法ですが、地震などによる転倒防止の為、《泉秀寺さま》独自の耐震仕様となっています。いろいろな方法を見てきましたが、こちらは初めてでした。素晴らしい智慧と工夫です。
《開山堂》の梁の彫りにもひと工夫されていました。
北方に位置するということで、《四神獣》の《玄武》と、防火のために《波しぶき》の彫刻がなされています。細かいところにも気を使われていますね。
地下に降りた(と思った)ら、《永代納骨堂》がありました。(本当はここが一階だそうです。)
こちらも全体的にケヤキが施されています。
20年以上前に造られた(屋内永代供養墓》です。今でこそ《永代供養》を知る方も多いでしょうが、当時はあまりその言葉も聞かなかったと思います。先見の明がありますね。こちらにも驚かされました。
《永代供養》という形式ではありますが、お参りに見える方はとても多いようで、お花やお供物、お線香などがたくさん置かれていました。ありがたいことですね。
《永代納骨堂》には《観世音菩薩さま》が祀らていて、《ご本尊さま》との繋がりを感じさせます。
また、《般若心経》の書かれた《観音菩薩さま》の掛け軸が掛けられています。
以上、10歩目のお寺歩き、駿河区向敷地の《泉秀寺さま》はとても多くの《仏像》や《仏画》《仏語》の《掛軸》が祀られていると共にその祀り方などにも様々な工夫をされているお寺さまでした。