仏具荘厳

お仏壇 仏具荘厳(ぶつぐしょうごん)

※静岡県中部地区に多い飾り方になります。

ご本尊さま
お仏壇のご本尊さまとして安置される仏さま。宗派によってご本尊さまは異なります。【真言宗:大日如来さま  曹洞宗・臨済宗:釈迦如来さま  浄土宗・浄土真宗:阿弥陀如来さま  日蓮宗:日蓮曼荼羅 など】お仏壇の最上段・中央に座し、故人をお導きくださる存在になります。宗派やお寺さまの意向によって異なることがありますが、ご本尊さまを本山から取り寄せる場合、三尊仏(ご本尊さまと脇侍の2菩薩、ご本尊さまと開祖・高祖)を祀る場合などもあります。
水受け(みずうけ)
【布施行】
清らかなお水(浄水)をご本尊さまに差し上げます。朝一番のお水を汲み、朝に今日一日のお導きを祈り、夕方に一日の感謝をもって下げます。《朝におつとめ、夕に感謝》
お位牌
ご先祖さまや故人の戒名・法名を記して、御魂(御霊)を宿される(導く)木牌。配列の仕方としてはご先祖さまを最上位とし向かって右上から左下にかけて順に並べます。
※水子位牌や戦没者の霊碑は順序に入れず祀られることが多いです。
灯篭(とうろう)
灯篭には主に吊り灯篭と置き灯篭があります。ご本尊さまのお顔やお姿、戒名などを見やすくします。お仏壇の内陣を明るく照らします。家具調仏壇などにはダウンライトとして設置されることが多くなりました。仏さまを導く際、明かりを照らして招く《万灯会》にも由来しています。※「お盆とは」の万灯会参照
常花(じょうか)
仏の花とされる蓮をかたどっており、泥に落ちた種が水上に大輪を咲かせることから、罪を作ってしまった者でも供養されれば清められ幸せになることができるという意味をあらわしています。また、花が現在・つぼみが未来・種が過去とされ、供養することは過去霊(ご先祖さま)の喜びを得て現在霊(自分自身)や未来霊(子供や孫、来世)につながるという意味も持っています。
高坏(たかつき)
当て字で高月ともいわれる供物台。お菓子や果物・ようかん・饅頭といったものをお供えする台です。小豆が最高の供物とされ霊が喜ぶといわれます。果物は旬のものを差し上げます。
高炉(こうろ)
【精進行】
お香を焚く器です。仏さまの前にでるには、香を体に塗って心身を清浄にします。それを塗香といいますが、その棒状が線香だといわれています。宗旨によって立て方は異なり、立てる本数も異なります。最も丁寧な形が3本といわれ、「身・口・意」の浄化※1や「佛・法・僧」※2に感謝という意味があります。この他、「ご先祖さまと故人」※3という意味で2本。迷わず仏さまの世界へいけるようにとのことで1本ということもあります。寝かしたり、折ったりする場合もありますが、それを避ける宗派もありますのでご確認ください。
※1  身体・言葉・意中(心)で行う(犯す)業を清めるという意味
※2  私たちや故人・ご先祖さまを導いてくださる仏さま(佛)とその教え(法)を広めてくださる(僧)に感謝という意味
※3  ご先祖さま(没後50年以上の諸精霊)とそれ以前の故人の精霊
花立(はなたて)
【忍辱行】
春夏秋冬を通して青く薫る香花(仏花と言われます)やその季節の色花をさし、心を安らかにします。きつい匂いのする花や棘のあるものはさけましょう。(棘をすべて抜けば良いです)
燭台(しょくだい)
【智慧行】
ローソク立てのことです。灯りをともし、隅々まで光を行きわたらせ、仏さまやご先祖さまの御霊を導きます。基本は香炉を中心に一対で置きますが、置き場所に限りがある時は、右側に1つ、左側に花立を1つ置き、対に見立てます。《右灯左華》
仏飯器(ぶっぱんき)
【禅定行】
ご先祖さまに差し上げる食事です。2つある場合は1つをおかず(もしくは味噌汁)を差し上げると更にありがたい形になります。ご飯を炊かない場合は、お洗米(お米を水で洗い水分をきったもの)を差し上げるのも1つの方法です。
茶湯器(ちゃとうき)
お茶、湯、水を差し上げます。湯気が出ると良いとされ、温かいものを差し上げることが多いです。
線香差し(せんこうさし)
お線香を補充しておく入れ物です。
マッチ消し
マッチを擦ったものを入れる器です。
おリン
在家用の凡音具。おつとめを始める前と終わった後に打ち鳴らします。一般的には2回、乙・甲(始め弱く、次に強く)鳴らします。御霊に呼びかける合図とします。
経机(きょうつくえ)
前机とも呼ぶ、お仏壇の前に置く机です。お仏壇に置ききれない仏具を乗せる台です。
その他
静岡ではあまり使われませんが、その他荘厳具として、前香炉(まえごうろ)、瓔珞(ようらく)、打敷(うちしき)、見台(けんだい)などがあります。お仏壇の様式、宗派、等にもよりますのでご希望の際はご相談ください。

お仏具を用意し、お供えすることはご先祖さまへの尊い供養となります。同時に自分自身への清めや修行ともなります。

水受け【布施行(ふせぎょう)】

雨(水)は、貧富の差がなく、万人に平等に降ります。お水は自分のしあわせだけでなくすべての人への平等のしあわせを望むこと。すなわち《布施》の心を養います。

香炉【精進行(しょうじんぎょう)】

お線香は火をつけると最後まで消えずに燃え続けることから、ものごとをやり遂げる行(精進の行)といわれます。

花立【忍辱行(にんにくぎょう)】

お花を綺麗に飾ることで、心にやすらぎを与えます。怒りはすべての崩壊を招くことから怒りを鎮め耐え忍ぶ修行(忍辱行)とされます。

燭台【智慧行(ちえぎょう)】

知らないが故に犯してしまう罪(闇)を仏さまの智慧によって明るく照らす「智慧の灯明」を意味します。

仏飯器【禅定行(ぜんじょうぎょう)】

空腹になると注意が散漫になることから、お腹を満たし、ものごとに集中する行(禅定行)を意味します。

塗香【自戒行(じかいぎょう)】

規律を守り、正しい行いをし、正しい道を進むよう自らを戒めます。魔除けや清浄の作法にも使用し、惑わされない心を養います。

以上の【布施行】・【精進行】・【忍辱行】・【智慧行】・【禅定行】・【自戒行】を六種供養(六度の行)といいます。日常生活において毎日のおつとめは大変な行事でもあります。その行事を1回でも多く行うことは自分自身を清めることにもつながります。

お仏壇は、故人やご先祖さまを供養する場所だけでなく、自分自身を清める場所、行いを省みる場所、家族のしあわせを祈る場所にもなります。

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